日本人の生き方とインド人の生き方
- 2017/7/17
- 在り方

私はこれまでの人生で、世界中の国を80カ国以上訪れました。
世界の色々な国に友人がいます。
この地球という同じ惑星には、自身が想像し得なかった場所があり、人々が生活し、風が吹いています。
自分が日本人であること。
日本人とは何か。
何が正しくて、何が正しくないのか。
多様な人とのふれあいは、人としての本質的な問いと向き合わざるを得ません。
日本の常識は世界の非常識であり、世界の常識は日本の非常識であることを実感します。
ここでは、日本人の生き方とインド人の生き方について触れてみたいと思います。
迷惑をかける事と許す事
日本では、子どもに「他人に迷惑をかけてはいけません」と教えますよね。
きっとあなたも、周囲の大人からそう言われて育ってきたのではないでしょうか。
インドでは「あなたは他人に迷惑をかけて生きているのだから、他人のことも許してあげなさい」と教えるそうです。
確かにインドでは、人と人との距離感が日本に比べて近いです。
私はインドの駅で次の電車を待つ際に野宿したことがありますが、そのとき、周囲の見知らぬインドの人たちが、私がトイレに行く際に荷物を見張っていてくれたり、食べ物を分けてくれたりしました。
その代わり、「これは何だ」だとか「○○についてはどう思うんだ」など、こちらの疲れを慮ることなくいつまでも話を続けてきたりしました。
私たちは、生きているだけで人に何かしらの迷惑をかけています。
ひょっとしたら、迷惑をかけまいというその配慮が、余計な迷惑なのかもしれません。
迷惑という言葉をどう解釈するか
「あなたは他人に迷惑をかけて生きているのだから、他人のことも許してあげなさい」という話をすると、「じゃあ人に迷惑をかけてもいいのか」「人を傷つけてもいいということなのか」という話をする人が必ずいます。
ふうやれやれですが、これは「迷惑」という言葉の解釈の違いです。
「他人に迷惑をかけるな」と言っている人たちと、「生きていく上で、周りに迷惑をかけざるを得ない」と言っている人たちは、同じ「迷惑」という言葉を用いながらも、意味しているところが異なります。
- (本来かけなくていい)迷惑はかけるな
- (一方、どんな形であれ)生きていく上で誰かに迷惑をかけている(のは忘れるな)
というのは、矛盾する考え方ではありません。
ところが、人は言葉が発するエネルギーに縛られます。
生きて行く上で「息苦しさ」を感じてしまうのはなぜか?
日本は、特に今の日本は、人に迷惑をかけることに対して過剰に敏感になっているように思えます。
それが、生きていく上での息苦しさに繋がっているような気がします。
最近、消防団員が制服姿でうどんを食べて、「おかしくないか」という通報が入った、というニュースを目にしました。
一体、うどんを食べた消防団員は、通報した人にどんな迷惑をかけたというのでしょうか。
なぜ、自分の正義感を人に押しつけるのでしょうか。
私が以前旅したマダガスカルというアフリカの島国で、素敵な光景を眼にしました。
老夫婦が経営しているペンションだったのですが、自分もタバコを吸いながらビールを飲みながら、フランス本国から来ている常連客と談笑していたのです。
私が注文したお酒がなかなかこなかったので催促したら、「悪い悪い、彼らは昔からの友人なんだ。良かったらお前も一緒に呑まないか」と笑顔で返してくれました。
そこからは英語に切り替え、私も楽しく一緒の時を過ごしました。
日本だったら、「こっちも客なんだぞ!けしからん」といったクレームになるのでしょうか。
生き方や考え方を選ぶのはあなた自身
日本の自殺率は、先進国で最悪レベルとされています。
人に迷惑をかけてはいけないという呪縛が、生き苦しさの一因を成している気がしてなりません。
故意に人に迷惑をかけたり、人を傷つけたりしてはいけないですが、そもそも人は生きているだけで人に迷惑をかけています。
ならば、人からかけられた迷惑も、少し寛容な心と態度で許してあげてもいいのではないでしょうか。
そのほうが、自分も他の人も生きやすくなる気がします。
世界は、生きているだけでつらいこともあります。
心が折れることもあると思います。
そんなとき、「迷惑をかけてはいけない」と、一人で頑張るのが日本人でしょう。
でも、人ってそんなに頼ってはいけないものでしょうか?
自分が弱っているときは誰かに助けてもらえばいいし、その代わり自分が大丈夫なときは誰かを助けてあげればいいのではないでしょうか。
日本人の「他人に迷惑をかけてはいけません」という生き方、インド人の「あなたは他人に迷惑をかけて生きているのだから、他人のことも許してあげなさい」という生き方。
矛盾する考え方ではないですし、本質では同じことを指していると思います。
ですが、私はインド人の生き方、考え方のほうが好きです。
あなたは今、どんな生き方を選んでいますか?